「トロン アレス」鑑賞しました!

鑑賞した映画の感想
(ネタバレの可能性がありますので、未鑑賞の方は充分ご注意ください。)
 AI開発でしのぎを削る二大IT企業「エンコム」と「デリンジャー」が、自社サーバー内のソフトを始めあらゆるアイテムを現実の世界に転送して「物体化」するシステムを構築し、実際にデリンジャー社の若きCEOは自社のセキュリティーソフトである「アレス」と「アテナ」を転送して物体化、その姿は超人的能力を有する人間の男女でした。しかし彼らは29分間しかその姿を維持できず、時間が経過すると崩壊してしまいます。
 まもなくして、デリンジャー社はライバルのエンコム社が物体化したデジタルデータを29分後も崩壊させず安定して永続させる「永続コード」を開発したことを突き止め、社外の施設から本社にコードを届けるべく急ぐエンコム社のイヴからコードを奪うようアレスとアテナに命令します。しかし、アレスは自分の主人のデリンジャー社CEOが発言した「使い捨て(expendable)」という言葉に反応し、なぜか命令に反する行動をし始め… というストーリーの作品です。
 1980年代中頃に公開され私も夢中になって鑑賞した「トロン」の続編ということで期待を膨らませ鑑賞しました。1作目「トロン」は世界初の「コンピューターグラフィックス」(今は「CG」って訳しちゃいますが当時はこう呼んでいました)を大量に使用した作品で、パソコンのHDD内に人間が入り込んでいき、内部にいる悪辣な敵と戦うという当時としては画期的なアイデアでした。HDD内の世界は超高層ビルが立ち並び高速道路網が縦横に張り巡らされたまさに「未来のデジタル都市」で、その中をハイスペックなバイクで主人公が駆け巡る映像はまさに「革命的」でした。
 今作の「トロン アレス」もサーバー内のデジタル都市を描いていますが、赤いラインを基調とした未来感たっぷりの映像は「トロン」を引き継ぎながら一層進化、スタイリッシュさを増していました。これだけでもこの作品を鑑賞する価値がありますが、デジタルソフトのまさに「奴隷」にすぎないアレスが少しずつ自我に目覚め、自己の永続を求めつつヒロインのイヴを自分の生存を賭けて戦う姿がとても興味深かったです。暴走する「アテナ」が現実社会を破壊しまくるのですが、最後29分間が経過した時にデリンジャー社のサーバーとのアクセスが切れておりもう戻れないことを悟ったアテナが「命令に従っただけなのに…」と呟いて崩壊する様子は何か複雑なものを感じました。ちなみに「アテナ」を演じたのが黒人女性の女優さんだったのは、ひょっとして「奴隷」のメタファーだったのか、と邪推します。

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