(ネタバレの可能性がありますので、未鑑賞の方は充分ご注意ください)
我々が思い描くあの大作曲家「ベートーヴェン」のイメージは、実は作られたものだった… こういった観点からお笑い芸人のバカリズムさんが脚本を担当し、ベートーヴェンの熱烈なファンである秘書シンドラーを山田裕貴さん、ベートーヴェンを古田新太さん、その他有名俳優さんが顔を揃える豪華な作品となっています。
ベートーヴェンの作品を知り尽くし、何とかして近寄りたいと画策するシンドラーはひょんなことから憧れのベートーヴェンの秘書となりますが、実態はうだつの上がらない偏屈親父のベートーヴェンとはウマが合わず衝突を繰り返します。そうこうしているうちにベートーヴェンは亡くなり、伝記を編纂する話が持ち上がりますが、いろんな関係者が我こそは本物のベートーヴェンを知っているとそれぞれ勝手に伝記を出版してしまいます。ベートーヴェン愛が他の誰よりも強いことを自負しているシンドラーは、ベートーヴェンの偉大さをぜひとも後世に伝えなければとの思いの強さから、ベートーヴェン像の「捏造」を思いつき… というストーリーとなっています。
紆余曲折を経た後、シンドラー以外の関係者が全員死去してしまい、実態を知る者は彼だけになったことからベートーヴェンの伝記決定版を「捏造」たっぷりで出版するのですが、アメリカのベートーヴェン研究家のセイヤー(染谷将太さん)が長年の調査の結果「捏造」を見破ります。どのようなやりとりがあったかはぜひ映画をご覧いただきたいのですが、偉大な功績を残したいわゆる「偉人」が実際は矮小な人物だったという「真実」を知らしめることに果たして意味があるのか、虚像ではあるが偉大というイメージのまま後世に伝えるのもアリではないか、そんなことを考えました。
コメント